2001年09月02日

港北ニュータウン・緑道(3)

■港北ニュータウン・緑道(3)  ・・・・・・・    緑区  多賀 和幸

 。。。緑道は少年、少女時代へのタイムトンネル。。。

 大型台風が通過したあと、残暑が戻った薄曇りの日曜日の夕方、私は愛用の自転車に乗り、緑道を走ってみようと思った。緑道は以前、妻と市営地下鉄の仲町台駅で降り、せせらぎ公園近辺を歩いただけであったが、都会の住宅地のなかに、細々と作られた緑のオアシスというなんとも想像力を掻き立てられる存在であった。
 鴨居駅前の鴨池人道橋を渡り、建設中の鴨居大橋の下を潜り、松下通信のビルの脇を真っ直ぐに北に進むと、中原街道と横浜上麻生線の交差点に出る。交差点の近くの石橋というバス停を右側に上がってゆくと、加賀原のバス停近くにシンフォニックヒルズに入る立体交差の陸橋がある。ここからのレンガ造りの道が緑道につながっている。
 月出松公園に近づくと、せみの声がシャワーの如く降り注いでくる。アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、なんとヒグラシの鳴き声まで聞こえてくる。ああここだけは空気が違っていると感じた。不思議に懐かしい風が吹いている。少年時代、毎日のようにせみを虫かごいっぱいに取った記憶が蘇ってきた。そういえば、最近はせみをとる少年達をほとんど見かけない。
 月出松公園の案内板を見ると、ゆうばえの道という名前が付けられていた。犬を連れて散歩している人が多い。
しばらく走ると奇妙な台形の丘があった。これは川和富士公園である。自転車を止め、頂上まで登ってみるとちょうど真っ赤な夕日が沈むところであった。少年野球のチームが坂道を登ってきた。
 見花山では夏祭りに出会った。焼きそばやおでんの屋台は、張り切っている町内の親父さん達の模擬店であろう。浴衣を着た少女達や奥様がたが少しまぶしい。大学生の頃、夏休みはほとんど信州の学生村ですごしていた。村の盆踊りにはよく参加した。村人に勧められた焼酎を飲みながら星空の下で踊ると、腰が抜けるような感覚になる。調子に乗って郷里の盆踊りで、正調木曾節を踊ったら、すぐ見合いの話を持ち込まれて困った。
 鴨池公園ではアヒルが2羽、地面にうずくまり動こうとしない。こどもログハウスの前を通り葛ケ谷公園を走り抜け、せせらぎ公園に着いたときは6時半頃ですっかり日が暮れてしまった。せせらぎ公園は古民家を背景に広い池があり、洗練された美しい公園である。仲町台の新しい街並の賑わいと明るさが、公園の静けさを引き立てている。せみの声とは違う、何かが弾けるような声が頭上から聞こえる。雀のお宿のようだ。修学旅行の生徒達のように眠る前に大騒ぎしている。
 それから折り返したが、すぐ道は車道に出てしまった。葛ケ谷公園への道を探しながら引き返したが、またせせらぎ公園にもどってしまった。益々辺りは暗くなってくるし、これは緑道ではなく、迷路ではないかと心配になってきた。
道端に中学生くらいの少女達が3人座っていた。彼女達に道を聞き、やっと迷路を抜け出した。暗い林の中で、こんな時間に少女達が遊んでいる。夜の緑道はまた不思議な一面を見せる。家に帰り着いたのは8時を回っていた。

港北ニュータウン緑道ハイクコースとせせらぎ公園古民家園
http://www.yk.rim.or.jp/~harujun/ntown/ntprk.html
セミの家
http://homepage2.nifty.com/saisho/Zikade.html

Posted by omni at 2001年09月02日 13:12