2005年03月06日

〜横浜市17年度予算案を読む〜(3)


       市民利用施設の利用有料化をどう見るか?
 
     〜受益者負担・公平を論拠に〜    青葉区 中谷英世


◆横浜市の予算案によりますと、17年度7月から地区センターなど、市民利用
施設の利用料が有料化されることが明らかになりました。

青葉区の場合は、地区センターの利用料はこれでは原則無料です。これが今後は
原則有料になります。

但し現在でも「団体又はグループで利用するときは、運営協力費として1時間帯
200円程度のご寄付についご協力をお願いする」となっており、3時間なら6
00円の運営協力費を負担することが通例です。

どうして無料を止めるのか、今後どう変わるのか、予算書から見てみましょう。

◆中田市長は2月16日、市会本会議での市政運営と予算案についての提案説明
の中で「社会的公正・公平の負担」について、概要以下のように述べています。
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/policy/(全文はここから)

「市役所自身が率先して変わろうとする一方で、市民にも意識変革を求めていか
なければならない。
全てのサービスにはコストがかかっており、利用者が手数料や利用料を支払うこ
となく利用できるものは、税金でそのコストを賄っている。逆に言えば、サービ
ス提供を受けていない市民は、自分が受けないサービスのために税金を負担して
いることになる。

例えば市民利用施設については、受益者負担の考え方からすれば、個人利用も含
め、施設の利用に対し一定の負担を求めたい。
港南台地区センターの場合、年間の運営費は約4,200万円かかっている。これま
では全て税金で賄ってきた。しかし、果たしてそれは社会的に見て公正・公平と
言えるだろうか。

趣味の会合やスポーツなどのサークル活動のための占有利用が7割を占めている
のが実態だ。一定のご負担をいただくことが、適切ではないか。
その分の税金を他の市民サービスの充実に充てることが可能となり、利用しな
い方々にとっては新たなメリットが生まれると言える。
利用者に応分の負担を求めていくことが、社会的公正・公平にかなうものであ
ると判断した。

今年度予算案では、利用料による収入見込みは、地区センター1館あたり年間
3百万円程度と見込んでおり、運営費に占める割合としては7%程度の負担を
お願いすることになる。

もちろん、単純に施設を有料にしていくということではなく、例えば地域ケアプ
ラザを例にとりますと、本来の目的である地域の福祉・保健活動の推進のために
使う場合は引き続き無料とする。

これらの見直しは、あくまで市民負担の社会的公正・公平という視点から、合理
性が存在すると判断した内容を提案したもので、収支不足の解消策という観点か
ら検討したものではない。」

◆市長は市民負担の社会的公正・公平を強調して有料化を説明し、施設運営費の
7%を収入見込みの基準としています。

では青葉区の場合はどうなるのか?

13年度個性区づくり推進費事業別決算によりますと、山内地区センターの管理
運営委託費は 2,957万円。その7%の207万円が市の収入見込みになり
ます。山内地区センターがこの額を収入として市に納入することになります。
350日開館するとして全館で1日6,000円、時間600円見当です。

これまで寄付としていた運営協力費を利用料として明確化することになるのでは
ないか?と思いますが、あくまで試算であり市の料金設定は今だ明らかではあり
ません。

◆市の予算書の35ページに概要が掲載されておりますので、ご覧ください。
http://www.city.yokohama.jp/me/zaisei/17yosan/pdf/2sugata.pdf
◆確かに市民負担の社会的公正・公平性は受益者負担の原則から言えば合理性が
あります。
ただ、ケアプラザの例でみるように「本来の目的である地域の福祉・保健活動の
推進のために使う場合は引き続き無料」としていますが、社会的貢献や施設の活
動目的にあうかどうかを誰がどのように判断するのかが問題になります。
社交ダンスだって健康維持の保健活動との理由が着くからです。

市民活動支援センターは今回の対象から外れていますが、これまでも趣味や教養
の分野のグループの登録を選別できなかった実態があり、今後、現場窓口の大き
なネックになりかねません。

◆更に、市長は「収支不足の解消策という観点から検討したものではない」と強
調しています。
しかし、地区センターは、これまで外郭団体の市民利用施設協会が運営に当たっ
て来ましたが18年度から全面的に指定管理者制度が導入され、企業やNPOが
市の指定を受けて運営できるようになります。

この場合、限られた委託費だけでは経営が成り立たなくなる怖れもあり、そこで
原則無料をやめて一般社会常識なみの利用料制度に切り替えざるをえなかったと
言う見方も成り立ちます。

青葉区民は一般に、受益者負担を当然とし、税金の使われ方に厳しい目を注いで
いるだけに、今回の有料化にどのような反応を示すのか、注目されます。

2005年02月20日

〜横浜市17年度予算案を読む〜

(2)横浜元町に10億かけた都市公園が出来る。

中田市長は2月9日記者会見を行い、みなとみらい21線元町・中華街駅舎上部と
隣接する公園予定地(通称)アメリカ山を一体的に都市公園として10億かけて
整備すると発表しました。

「市は財政難で建物などとてもとても。土地の取得は問題外」と区の幹部から聞
いてる話とはチョット違ったお話しです。

新しく國が決めた立体公園制度(屋上等の立体的空間を活用した公園整備)の
モデル事業として整備、元町地域の観光スポットとしての魅力アップや安全で快適
な歩行者回遊動線を目指すとしています。

昨年完成したばかりの2階建ての元町駅舎を4階に増築、民間に貸し、屋上には
庭園を造り今は崖地のアメリカ山(国有地)と一体にした眺望のいい都市公園に
して新しい観光スポットにしようという結構な計画です。

19年度には完成。総事業費は約10億円。17年度は、設計に2,000万円、
駅舎改良準備工事に1億3,000万円、計1億5,000万円を計上しています。

詳しいは事業概要をご覧ください。
http://www.city.yokohama.jp/me/green/kisya/050209.pdf

魅力的な都市公園が一ヶ所もない青葉区としてはうらやましい限り、またまた、
横浜観光のため都心にお金をかけるようです。

ご存じのように、横浜中心部中区には明治以来、多数の都市公園が整備されてき
ました。
本牧臨海公園、港の見える丘公園、山下公園、根岸森林公園、本牧市民公園、
横浜公園、元町公園、元町百段公園、三溪園などなど。

しかも平成12年には中心市街地活性化公園事業として、山下公園、元町公園、
山下町公園、大通り公園などが改修、再整備 されたばかりです。

詳しくは市長記者会見を是非ご覧ください。
http://www.city.yokohama.jp/se/mayor/interview/index.html

記者会見によりますと、昔からい地元の要望がいろいろあったということです。

平成3年「山手町の街づくり協議会」要望
ー駅ができることを前提に、エスカレーターなどを駅とアメリカ山との間にぜひ作って欲しい。
平成13年「山手町・元町の町内会、商店会」から同様の要望。
平成16年「山手近辺の学校から、通学の安全確保要望。
市民にも利便性が高いエスカレーターの設置、バリアフリー化の要望。
観光客の声など。

さすが記者から「コスト意識という点で問題はないのか」と質問が出ています。
公園なので、作っても誰も文句を言わない、観光客にとっても便利。
一方で、これを作ることで最も得をするのは地元。かなり局所的な利益になる。
どのような必要性を重視して判断したのか?」

市長は「後々回収していこうと考えている。テナントの賃料で回収していく。
それから、市として観光客を増やしていく。開港150周年を踏まえて、港を活か
した横浜市の「らしさ」づくりについての努力をしており、その一環。作る価値が
ある」と説明しています。

やはり横浜は観光立市。都市経営としてミナトならでは明けぬ街なのでしょうか
。開港150周年を目指して、砂浜を作れとか、馬鹿な企画が目白押し。いろい
ろ群がっているようです。

シラケているのは丘の手市民。「ミナトらしさばかりが大横浜ではないでしょう。
日に日に緑が喪われていく田園都市の自然の保全にこそ、今、税金を投入して
欲しいものです。ミナト横浜の声は聞こえても貴方の生まれた青葉区の声は聞こ
えませんか。「区は区長に任せた」とは、丘の手のことは市長は知らんとまさか言うこ
とではないでしょうね。」