2005年03月04日
つづき図書館倶楽部通信（抜粋）
つづき図書館ファン倶楽部初春号より。
「学校図書館が育てる力」 伊藤 紀久子
昨年１０、１１月と３校の学校図書館を見学してきました。
山形県鶴岡市立朝暘第一小は学校図書館を学校教育の中核に据え、すべての教科で
学校図書館を活用して調べる学習を行い、それを支える読書教育にも力を入れて、第
３３回学校図書館大賞を受賞した学校。最近、テレビ朝日の番組「いきいき夢キラリ
！」でも取り上げられました。話に聞いたとおり、始業前から子どもたちが本を借り
に図書館につめかけ、初の試み「１年生の調べ学習」（国語科）の授業で、内容をま
とめてカードに書くことを学んでいました。
東京都狛江第三小は、公共図書館と全小、中学校がネットワークを組んで資料の相
互貸借をし、今年度から図書館利用教育をカリキュラムを組んで取り組み始めた学
校。「百科事典を使うクイズ」に取り組む５年生の図書の時間で、楽しみながら百科
事典での調べ方を学んでいました。また、主体的な読書の姿勢を育てるために、本の
予約・リクエストや一人ひとりの本探しを手伝うフロアワークにも力を入れているそ
うです。
横須賀ミドルスクールは、昨年新しくなったばかりの図書館内に本だけでなくパソ
コンや情報機器が整備され、インフォーメーションセンターと呼ばれていました。子
どもたちは各々自分のページをＷＥＢ上に持っていて、インターネットや本などで調
べたことを、自分のページに書き込み、まとめていました。「発明をする」という６
年生の授業は、ちょうど日本の総合学習のようでした。また、図書館がＨＰを作って
いて、子どもたちや先生が使えるリンク集や調べ方、調べる時に使うワークシートや
チェックリストなどが載っています。アメリカの学校図書館の先進ぶりが垣間見られ
るような図書館でした。日本では情報教育と言うとＩＴに偏っていますが、アメリカ
ではＷＥＢの情報も本の情報も同等に学校図書館で扱っていました。
「知識を覚えるだけでは意味がない。大切なのは考えること。」
三者三様でしたが、すべての学校に共通しているのは、学校図書館に専任の専門職
員がいて、資料がきちんと整理され、いつも資料と子どもたちをつないでくれている
こと。また、図書館には居心地良くほっとできる空間もあること。調べ学習では、情
報の海に子どもたちが放り出されるのではなく、調べるために必要な豊富な情報源が
整えられ、調べ方が教えられた上で、レファレンスなどの援助も受けられること。そ
の結果、調べ学習には学校図書館がなくてはならないこと。子どもたちは、調べたこ
とをただ写すだけではなく、それらから自分の考えを組み立て、プレゼンテーション
まですること、です。
「知識を覚えるだけでは意味がない。大切なのは考えること。」と言っていたミドル
スクールの司書ジャネットさんの言葉が印象的でした。答えのないこれからの社会を
生きていくために必要とされる情報リテラシー能力を育むために、学校図書館は大き
な力を発揮するということが実感できる見学でした。
横浜の学校図書館も力を発揮できるよう、常駐する司書を配置する施策を一日も早
く実行してほしいです。
鶴岡市立朝暘第一小学校ＨＰ
http://www.city.tsuruoka.yamagata.jp/school/primary/1st/
横須賀ミドルスクール図書館ＨＰ http://www.surfline.ne.jp/janetm/ymslib.html
「都筑区内図書施設マップ」を改訂しました。 福冨 洋一郎
意外な「図書館の穴場」がすぐそばに・・・
２００１年１月に作成した「都筑区内図書施設マップ」をリニューアルしました。都
筑区内には公共図書館が１館しかありませんが、地区センターやコミュニティーハウ
スなどには、図書コーナーがあり、また小・中学校の市民図書や歴史博物館の図書閲
覧室など、１７の図書施設を利用できます。それらはそれぞれ特色があり、意外と
「穴場」になっています。アンケートの概要をまとめたチラシを図書館などに置いて
ありますので、どうぞご活用ください。今後地域の図書施設のネットワークづくりが
期待できます。
１７施設の図書館が利用できます
１７施設は、都筑・中川西・仲町台・北山田地区センター、中川中・勝田小・川和小
・都田小・北山田小・つづきの丘小学校コミュニティーハウス、川和中・山田小・折
本小・都田西小学校市民図書、それに武蔵工業大学環境情報学部情報メディアセン
ター、ハウスクエア横浜住情報スクエアライブラリー、横浜歴史博物館図書閲覧室の
各図書施設です。年間の貸出し冊数は合計約１６万冊で、都筑図書館の１２３万冊と
合わせて都筑区で１３９万冊となります。
「都筑区にたった一つの図書館！？」
都筑区は人口１７．４万人で、都筑図書館の年間利用者数は、昨年ついに１５５万人
に達しました。都筑・青葉・港北・緑の北部４区は、人口が９４．２万人。もうすぐ
「１００万都市」です。しかし、図書館は４館しかありません。平成１４年度の全国
統計では、人口１００万人あたりの図書館数が多いのは、富山県で５３．６館、全国
平均で２１．５館です。最低は、実は神奈川県でそれでも９．４館です。この前、見
学に行った浦安市は人口１５万人で７館、人口８０万人の世田谷区は１５館です。ア
メリカは５７．７館、イギリスは８８．３館、ドイツに至っては実に１７４．８館という統計があります。
「こうすればもっと便利に使える！ー１７図書館のネットワーク化」
図書館は、ネットワークによるサポート体制が大切です。公共の図書館に比べれ
ば、たとえ小さな施設でも、その特色を活かしつつ都筑図書館と連携を組めば、「身
近な生涯学習拠点、心地よい地域の居場所」としての役割を果たせるのではないかと
思います。都筑区に図書館が１８館あると自慢出来るようになることが夢です。
「２００�焦� これは夢？」
２００�焦�の朝、インターネットでこの前予約をしていた本が近くの都筑地区セン
ターに届いていることを確認し、歩いて５分の地区センターに行く。２週間前に借り
た本を返却。代わりに予約した本を受け取り、ゆったりした椅子で読書を楽しむ。受
付の窓口の職員に前から気になっていた都筑の歴史について調べたいことを相談。県
立図書館に、文献があることを教えてもらい、取り寄せの予約をする。午後は、地区
センターで福祉のボランティア活動。そして、仲間と一緒に囲碁をして、都筑工場の
余熱利用の風呂に入って汗を流します。話題は、近づいてきた地域の夏祭りの準備の
ことです。定年後の私の居場所はどうも地域の身近な図書館のようです。
（記：福冨 洋一郎）