ユニバーサルデザイン( UD ) (26) 青葉区 小池久身子
「 vol 26 いつかは だれでも 高齢者 」
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若い世代の人に「年をとる」ということを理解できるでしょうか。
手足の関節痛、視野の狭窄や白内障、難聴など、高齢期に
生ずる身体的な衰えは、健康な若者にとっては現実味のない
ものでしょう。
では自分がいざ高齢期を迎えた時、社会はお年寄りを歓迎
してくれるでしょうか。
自分が「高齢者になる」のは遠い将来のことなのだから、その
時に考えればいい、そう結論を先送りする人は多いかもしれません。
しかし「その時」は誰にも確実に訪れます。こう考えてみると
今日本の直面している『高齢社会』とは、決して「人ごと」では
なく「自分のこと」として、誰もが考えていく必要があるのでは
ないでしょうか。
ユニバーサルデザインの国際的な第一人者として活躍する
米国の工業デザイナー、パトリシア・ムーアさんが先頃来日
しました。
彼女は1980年、26歳の時に85歳の老女に巧みに変装し、
ニューヨークやボストンなどの都市を歩き、街の様子や人々
の反応を身をもって体験します。そしてこうした調査の必要性
を痛切に感じ、以降変装して3年間をかけて全米百ヶ所以上
の都市をまわりました。
26歳が85歳になって実感した物理的、精神的様々なバリア。
彼女はこれを物語のような文章展開で著書にまとめ、
1988年『変装 - 私は三年間老人だった』として出版しました。
この本は、日本でもまちづくりに意欲を燃やす人々の熱意に
支えられ、このほど復刊されました。ストーリーは17年の年月
を経た今も色あせるものではありません。
ユニバーサルデザインの教則本としてこれからも支持されて
いくものであることを期待しています。
* 参照著書の紹介 *
パット・ムーア 著 木村治美 訳
『 私は三年間老人だった 明日の自分のためにできること 』
朝 日 出 版 社
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