2005年12月21日

私はなぜNOTAを開発したか

私はなぜNOTAを開発したか        青葉区 洛西一周

 複数人が同時にお絵描き感覚でウェブサイトを編集できる「NOTA」は2003年の
秋に生まれました。このとき、私は京都に住む大学2年生でした。
「未踏ソフトウェア創造事業」という個人プログラマーを国が支援する補助制度
に採択されていたので、その結果を出すために、新しいソフトウェアのアイデア
を日夜考えていました。
このときの私のプロジェクト・マネージャ(プロジェクトの指導役)が、増井俊
之博士という方でした。増井さんは、当時すでに「これからはFlashアプリケー
ションの時代が来る」とおっしゃっており、その影響で私もFlashを使い始めまし
た。
使い始めてみると、Flashは図形に複雑な動きをつけられることが面白く、私はと
くにAction Scriptと呼ばれるFlashに細かい動作を指示できるプログラム言語に
はまっていきました。

 未踏事業での私のテーマはソフトウェアをもっと使いやすくすることでした。
既存の技術の組み合わせでも実現できるけれど、操作が直感的でなかったり分か
りにくかったりする部分を発見し、それに替わる新しい操作手法を考案します。
私は、以前からホームページの作成方法がとても複雑でめんどうだと感じていま
した。インターネットは個人が参加できるメディアと言われながら、実際にはあ
る程度技術がないと発信する側にはなれません。誰でも思いのままに情報を発信
できるようなるにはどうすればよいのでしょうか?

 私は、家族や友人などホームページを作ることができない人のことを思い浮か
べ、彼らでも操作できるものを作ることを目指しました。
ある日、新しく覚えたFlash技術を使って、ホームページの作成過程が一気に簡単
になるアイデアを思いつきました。私は、従来のウェブサイトではできない二つ
の新機能を考え、Flashを使ったシステムの開発に取りかかりました。まず、HTML
では難しかったデザインをブラウザ上でマウスを使って思いのままに表現できる
ようなキャンバスを作りました。
次に、「アップロード」という処理をすることなく、リアルタイムに内容が自動
的にサーバーに送信されるような機能を開発しました。この二つが、自由なレイ
アウト編集機能とリアルタイム通信機能です。プロトタイプは約一ヶ月で完成し
ました。

 開発した当時のことを回想してみると、「コミュニティで使う」ということは
考えていなかったんだなあと気づきます。
市民コミュニティに普及したのは、2004年秋以降、横浜で使われ始めたことがき
っかけです。今に至るまで、幅広い年齢層の方に多分野に渡って活用していただ
いているのですが、ページを拝見する度にみなさんの使い方の斬新さに驚いてい
ます。
NOTAは市民コミュニティとの運命的な出会いを経て、ようやく普及への大きな一
歩を踏み出しました。今年バージョンアップするNOTA2では、市民コミュニティで
の使用経験がそのまま新機能に反映されています。

 初代NOTAは、ホームページの作成をデザインと通信の両面でより簡単にするこ
とをめざして開発され、NOTA2は、市民のコミュニティウェアとしてより使いや
すく改良されたと言えるでしょう。独り立ちし始めた「京都発、横浜育ちのNOTA
」に今後ともご支援いただければ幸いです。

Posted by takmi at 2005年12月21日 00:49