2002年04月28日

「横浜オムニバス通信」 臨時増刊 3号

"横浜丘の手市民活動ITサポートプロジェクト「TaKMi」の情報誌"
「横浜オムニバス通信」 臨時増刊 3号(発行日2002年4月28日)

――<D.若き市長へのエールと期待>―――――――――――――――――
 
★10 日本改革は横浜から 市政刷新、中田新市長に託す
    “脱横浜都民”、“区への分権”に共感    青葉区  J.K

■ウンザリ市政
「もう“ウンザリ”、早く変わって欲しいな」というのが横浜市長選挙を控え
ての偽らざる気持ちだった。
高秀前市長が登場した12年前はバブル絶頂期。横浜経済を握るミナトに着目
して意欲的な開発事業を計画、推進してきたのは、さすが建設次官まで務めた
行政手腕だと、素直に評価しよう。
しかし当選の翌年には戦後経済を支えてきた土地神話が崩壊、93年には非自
民政権が誕生した。95年の阪神大震災で安全神話も崩れ去り、あとはご存知
“日本病”。それでもミナト中心の大事業は進む。
オリンピック立候補はさすがに取り止めたものの、今度はW杯だ。
東京都知事選に続き、長野・栃木と続いた一連の“プロ”、“相乗り”敗退の
知事選の流れをどう見ていたのだろう。有権者は臨港開発やダム建設など大型
プロジェクトやハコモノ行政に飽き飽きしていたのではなかったか。
人口急増の北部横浜、社会資本の立ち遅れ
青葉区に"移住"してから25年になる。東京都内への通勤者のベッドタウンと
して私鉄沿線に発展してきた横浜北部は、青葉区を中心に、人口だけは政令都
市並みの100万人近い一大住宅地帯となった。
ただ社会資本の立ち遅れは覆うべくもなく、交通混雑や文化・スポーツの公共
施設不足などに悩んでいる。
"移住"世代も老齢化し、"高齢者福祉"が急浮上している。
しかしながら徒らに行政に頼るのは避けたいという、シャイでリーズナブルな
市民意識が強く、最寄駅に出るための満員の通勤バスにも「我慢、我慢」、訪
問サービスの民生委員にも、つい「余計なお世話」と無愛想な応対するのも、
この地域の人々ではある。

■隣接諸都市との住民サービスに格差
さて横浜市の公聴の一翼を担う市民組織「青葉区民会議」の委員として6年前、
市政に多少の関わりを持つようになって驚いたのは、住民サービスの面で隣接
諸都市と、かなりの格差があることであった。
大災害が起きた場合、生活や行政の情報を住民に伝えるのに必要な、街頭スピ
ーカー、「同報無線」網が全くなく、いざとなったら広報車かボランティアの
自転車で廻るしかない。こんなのは、この周辺では横浜市だけらしい。災害情
報の収集では自治体としては日本いや世界に冠たる設備があるというのに・・。
放置自転車もそうだ。お隣の川崎市では、余裕のあるところは歩道でも駐輪場
を設けて対応しているのに、横浜市では、駐輪禁止の建前にこだわり、“放置”
が増えるばかり。これといった知恵もないまま、政令都市でただ一つ、対策の
ための全国組織にも入らず、横浜モンロー主義を貫いている
違法駐車に至っては駅前交番の前でも、お巡りさんは知らぬ顔の半兵衛だ。
県警に聞くと青葉署の警察官1人当りの人口負担は県警平均より5割も多い
1300人。「警察官の配置が人口増に追いつかない」が言い訳だが、一寸警
告だけでもしてくれりゃあいいのに。
ちなみに横浜市の12年度市民意識調査によると、市政に対する要望の1位は、
殆どの区が“福祉”なのに、青葉区は“交通”だ。
交通政策は市政の重要課題。県警との連絡を良くしてね。

■青葉区独立論?
“青葉区独立論”というのをご存知だろうか。市政を論じる時、揶揄を込めて
囁かれる言葉である。横浜は現在18区、等分に1億円ずつ配分される「区づ
くり推進費」を人口別に配分せよという要望に始まり、“特別区”にせよ、人
口27万の“独立市”に、旧港北区(北部4区)による政令指定都市はどうだ。
さらには「お遊びに“青葉共和国”でも作るか」というものまである。
「区への分権」
中田さんは、選挙戦の第一声で「区への分権」を訴えた。
横浜はミナトだけはない。独特のバランス感覚で、広い横浜の地域の特徴を生
かした市政を、という思いからか。それとも政策立案に携わる"カンナイ"のお
役人の奮起を促したのか。
第一声ではさらに、情報公開も含めた市政構造改革論、市長の多選批判。歯切
れがいい。しかし言葉を選びながら訴える、気配り振りは、国政への理想と国
会の現実に悩みながら“無所属”を貫いた“したたかさ”の証明か。

■有権者は正直
中田勝利は北部4区に止まらず、ミナトの外縁、金沢、栄も勝利で覆い、神奈
川、戸塚の東海道筋も接戦。北と似たような悩みを抱えているのだろうか。
今回の選挙を"青葉区の乱"と報じたマスコミがあったが、皮相的だ。横浜の地
図に選挙結果を落として見れば、答えは一目瞭然、ミナトのツケだ。

■脱“横浜都民”
中田選挙で聞かせたのは「横浜都民はやめよう」であった。
マスコミ用語の“何とか”都民は、実はコメントが必要だ。
所謂“横浜都民”は北部だけでなく、市内住宅地の何処にでもいる。その大半
は自らのふるさとを求めて“移住”してきた人々である。
多忙で地縁感覚も薄く政治的には“無党派層”と受け取られるが、自らの責任
で生活拠点を選択しただけ、ふるさと志向は強く、政治的関心は高い。
政治的差別用語とも受け取れる“横浜都民”というこの言葉を、青葉台出身の
中田さん自身は、ひょっとして苦々しく思いながら育ち、政治家への志を育ん
で来たのではなかろうか。
横浜市長選挙では、今回から不在者投票制度が緩和され、勤め人には大変便利
になった。このため青葉区での不在者投票は、前回の3.6倍の6171人に
達した。政治的インパクトが起きれば頼まれなくても投票所に行く。これが青
葉区の投票率を10%、市全体では5%も引き上げたのではなかろうか。
今年の市民意識調査によると、この5年間に新たに市民になった人は、“横浜
都民”と限らず、36%に上る。人口動態も急激に変化しているのだ。

■推薦候補決定で予備選の勧め
それにしても相乗り市議団はお粗末であった。身近な利害が絡む首長選挙では、
与党は候補者本人が出馬辞退するまで付き合わざるを得ないのか。危機感が欠
如した惰性のお付き合い選挙では勝てない。市会最大の自民党よ、つい1年前
の総裁予備選で小泉さんを推したエネルギーは何処に行った。
僅か半年前、お隣の川崎市長選で四選阻止の反面教師があったのに。
小泉首相が中田さんに会って5万票減ったと党本部に抗議したという報道があ
ったが、自分たちは何をしたのだろう。市民のニーズを吸い上げられない硬直
化したお付き合い推薦では、政治は活力を失うばかりだ。
推薦決定は幹部の談合でなく、予備選で決め方がよりマシだ。
各党とも予備選をするようご忠告申し上げたい。党勢拡張にもつながろう。
面目を保ったのは民社党県連の分裂派ばかりであったが、出陣式に中田応援に
駆けつけた、国会野党の若手議員の鈍感なのに驚いた。国会の“ごたごた”を
取り上げて与党攻撃、「改革、改革」と叫ぶばかり。何処にぶつけていいのか
分からない地元横浜市民の“閉塞感”がちっとも分かっちゃいない。

■直前の出馬表明で油断誘う?
従来的な選挙戦術から見ると、候補の動きなど事務所に聞いてもわからない。
電話作戦も支持者任せといった中田選挙はメチャだった。
それでも横浜市民は新人中田に軍杯を挙げた。脱政党の風というのだろうか。
だが待てよ。今回の勝利は無党派層の勝利というより、高秀陣営の危機感が欠
落した相乗りの惰性選挙が原因との見方も強い。中田出馬の噂は前からあった
が、直前の表明で相手の油断を誘うという計算もあったかもしれない。選挙運
動が長引くと事務所の借り上げ費だけでも大変な出費だ。

■日本改革は横浜から 国政のリーダーに将来を期待
中田さんは日本新党出身だが、新進党の解党以来、民主党にも入らず、無所属
を通した。保守系の自治会長にも支持者が多く、一昨年の衆院選では、首相秘
書官を務めた自民候補を、鎧袖一触の大量得票で三選を果した。
若いながら政治感と行動力は抜群。IWC=国際捕鯨委員会で各国と渡り合う
など国際感覚も養い、新進党時代、かっての自民党の若手暴れん坊集団“青嵐
会”顔負けの活動もし、テレビにもしばしば登場した。
しかし市長就任後の発言を見ると、意外と慎重な姿勢。徒らに先を急いでトラ
ブルを起こすタイプではなさそう。
大丈夫。前外相とも、長野県知事とも苗字は全く反対の「中田」だから。
戦後の横浜は東京を意識しながら、左右に揺れ動いてきた。
在任中、市民の視線で実績をあげ、国政への発言力の確保に努めるといい。
横浜市長を2期8年務めて国会に戻っても、まだまだ若手だ。政界はリーダー
不在のまま、なお低迷を続けているかも知れない。その時中田さんは地方政治
の実績と知名度が大きな支えとなり、ユニークな存在になるだろう。
君は若い。ロマンを忘れず、力を蓄えよう。横浜から日本を変えよう。

中田さん、改革も良いが、あせると真紀子さんのようになる。来年には相乗り
の市会の選挙もある。
当分総論で行き、じっくりボタンの押しどころを研究したらよい。

右肩上がりの時代のお役人は、皆夢を持っていたが、この頃は諸事マニアルの
ように「検討、検討」「本部に伝えます」だ。

最後に言いたい。「中田さん、何時までもロマンを忘れるな」
竹林の凡人、隠居ジャーナリスト

高秀市政の手法は東京五輪、大阪万博などなど、右肩上がりの60〜70年代
の発想と同じではないか。東京湾臨港開発や愛知万博の計画縮小をどう考えて
いたのだろうか。

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★11 中田新市長を迎えて           戸塚区 林

劇的な選挙を経て、中田新市長のもと新しい横浜市がスタートしました。
役所内の旧体制や議会との軋轢なども予測されますが、恐れず、ひるまず、と
らわれず、市長の市民に対する想いを実現してもらいたいと思います。

さて、これからの横浜市ですが、まず財政が厳しい状況下で、中田市長は公約
である積極的な情報公開と、NPOや民間との協同・協力をはかりながら施策を
推進されるのでしょう。
その結果、積極的な市民参加、さらに言えば市民主導のまちづくりが求められ
ます。つまりこれまで見られた「行政まかせの体質」から、「市民が主体で行
うまちづくり」への体質改善が必須となるでしょう。

選挙中、中田市長は公約として「市内分権」を掲げました。そもそも、地方分
権の基本的な考え方とは「市町村ができることは独自で行い、できないことを
県に、県でもできないことを国に補ってもらう」ことです。横浜市で言えば、
まず区で実施し、できないことを市でカバーするシステムを目指すことと、私
は理解しています。

これからは「横浜市に何をしてもらえるか」ではなく「横浜市になにができる
か」というスタンスでいきましょう。そして「まず、私たちの地域から」です
。自ら提案し、実施していくこと、これは必ず新市長は受け入れてくれると思
います。今はまさに横浜市が大きく変わるチャンスの時です。皆さんとともに
実践していきたいと思います。

このようなメールマガジンを通して、お互いを高め刺激しあう機会になればと
祈念しております。

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◆◇「オムニバス通信アンケート◇◆

各意見に対して、読者のアンケート調査をお願いいたします。

「オムニバス通信」アンケートのホームページ
http://www.sanjocity.jp/~yokohama/takmi/enq/enq.cgi
において各意見に対して賛成される項目を投票いて下さい。

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3.編集後記
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 多くの意見をお寄せいただいた市民のかたがたに感謝致します。この提案を
どのような形で整理するかは、編集部のほうでも結論がでていません。むしろ
市民のかたがたから寄せられた、中田新市長にかける期待と、思いを直接読ん
でいただきご判断頂きたいと思っています。
これらの提案や意見などについて、ご意見のある方は下記メールアドレスまで
お送り下さい。
 
「横浜オムニバス通信」編集部   発行人:多賀、小池
E-Mail TaKMi@egroups.co.jp (多賀、小池)
URL:  http://home.catv.ne.jp/dd/taga/omni.htm 
URL: http://takmi.ciao.jp/sub/ 
   http://takmi.ciao.jp/xoops/

Posted by takmi at 2002年04月28日 17:00 | トラックバック
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