春近し梅一輪のほの香かな

梅一輪の写真 大根などの野菜の写真
春近し梅一輪のほの香かな
                              2003/2/09

朝方まで降った雨が、乾ききった空気と大地をしっとり柔らかく
してくれた。気温もぐ〜んと上がり、朝市を訪れる人の足取りも
心なしか軽い。

白菜、ねぎ、ごぼう、にんじん、じゃがいも、小松菜、ほうれん
草、水菜などのおなじみの野菜に混じり、セリやアスパラ菜、
つぼみ菜など春の彩りが加わり、さらに2軒の農家の方が、
紅梅と小梅の枝を用意してくれていた。

ごぼうの千切り、赤かぶの甘酢漬け、切り干し大根など、ひと
手間加えた加工品も健在で、農家の方々の心配りが伝わって
くる(2週間前、朝市で入手したごぼうとにんじんの千切りで、
久しぶりにきんぴらゴボウを作った。直ぐ出来て、しかも風味が
あって、美味しくできた)。

グリーンラディッシュやルッコラ、赤大根など、いつも珍しい野
菜を持ってきてくれる松本さんに少しお話をうかがった。ご主人
が病気療養中のため、奥さんが農作業をし、朝市はサラリーマ
ンの息子さんの手を借り切り盛りしているとのこと。
タネのカタログで珍しい野菜を見ては、すぐ挑戦してしまうとい
う奥さん。好奇心のなせる技か、今日もルッコラ、赤ねぎ、つぼ
み菜、辛味大根など、ユニーな形状の野菜が並ぶ。根元が赤
い赤ねぎは、香りがあり納豆に合うそうだ。見た目もきれいで、
やわらかそう。
さっそく今夜挑戦しなくては!

新しい野菜は種まきをし、育て、収穫したのち、自分で何度
か調理してみてはじめて、お客さんに薦められる。だから、
種まきから朝市に出すまで最低1年はかかると松本さん。手
間も時間もかかるが、新しい野菜を紹介したいという思いが
強い。
つぼみ菜は茹でると鮮やかな緑になり、炒め物やおひたし
に最高とか。なるほどご自分で育て調理し食べてみた裏づ
けがあるから、自信をもってすすめられるわけだ。

そんな話をしているうちに、なにやら横で「あら、もうアスパラ
菜なくなっちゃったの?」と甲高い声。
「どうぞ、これ」と最後のアスパラ菜を買ったお客さんがなんと、
甲高い声の持ち主にさっき買ったばかりのアスパラ菜を譲っ
ている。朝市では、いろんな優しさが行き交っているようだ。
朝市に集うひとたちの写真
せりなどの野菜の写真