2005年01月09日

ユニバーサルデザイン( UD )Vol.20

「 ユニバーサルデザイン( UD ) 」
ナビゲーター の 小池 久身子( Ko-kumi ) です。
 
    「  vol 20   熊 本 の ユニバーサルデザイン 」
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  昨年暮れ、「UDリポーター講座」の開催のため九州熊本へ行きました。

 熊本県では女性知事が県政にユニバーサルデザインを取り入れ、今年5年目を迎えます。背景には熊本県の高齢化率が 22.8%(全国平均19%)と全国を7年ほど先行しており、そのための社会整備が急務であること。
 
 UDを県民の身近なものとして裾野をさらに広げるべく、今年はリポーターを公募して県下各地の温泉旅館やホテルを巡り、利用者の視点から建物のバリアフリー度やサービス度などを取材し、記事を集めて「UDマップ」を作成して県のHPで公開する、というプログラムを実施しました。
 
 講座は一日行程を組み、午前中はUDの講義、午後は施設へ出向いて実地取材をします。参加者は学生、高齢者や主婦など男女半々、年齢や身体状況は様々ですが、共通項は「ユニバーサルデザイン」と「取材」の初心者であるということです。
 
 このような講座では机の上の講義も必要ですが、時には教場を外に移し、実際に体を使ってみると、論理とはかみ合わない点を数多く発見します。「学ぶ」ということは、知識を得て議論を重ねるだけでなく、それを現場で検証して初めて深まるものと思います。

 午後、近くのホテルを体験取材した時、「受講生の声」として実感のある気づきがいくつも挙がりました。

 例えば、館内にある看板などの文字    6 8 9  は、 ブロック体などで表記されていれば 「6」・ 「8」・ 「9」 は明確にわかるが、字体によっては、「6」が「8」に、「9」が「8」に見えてまぎらましい。

 部屋番号を示す案内板が「ピンクの地にベージュ系の文字」など同系色を使っているものはとてもわかりにくい。案内板に日光(あるいはライト)がちょうど当たるように設置されているが、ある角度からはまぶしくて見えにくい。

 これらは、建物の仕様は基準値の範囲で設計されており、何ら問題はないはずでしょう。ただ、若い設計者であればあるほど、館内の雰囲気を表現する為にコンセプト(センス?)を重視して「見た目の美しさ」にこだわる結果、利用者の使い勝手は置き去りにされてしまいがちです。

 もちろん「宿」である以上、一日の疲れをとり、癒しの空間を演出することも大切です。しかしそれと同様に、利用者の「わかりやすさ」も大切な視点なのです。

 身近な利用者がそれを教えてくれます。UDリポーターの記事は、今年早々にも、熊本県のホームページに掲載されます。
 
 ☆ 熊本県ユニバーサルデザイン・ネット 
   http://ud.pref.kumamoto.jp/index_main.asp


Posted by omni at 2005年01月09日 11:37